2018年12月2日(日)、関西大学東西学術研究所身体論研究班(荒川+ギンズ研究)の第9回研究例会を開催いたしました。
まず、美術家である大崎さんに、荒川+ギンズの「AをBとして知覚せよ」をはじめとする『意味のメカニズム』のエクササイズ(不可能な問い)を経由することで、マルセル・デュシャンの『レディメイド』を、圏論の恒等射影の問題から検討するという、新たな解釈のもと、マルセル・デュシャンと荒川+ギンズ、それぞれの”超具象的なもの”の差異が強調されました。そして、今回の発表に関連する具体例として、自らの作品を解説していただきました。
最後に、荒川+ギンズの宿命反転思想をアーカイブ化する問題について、「永久に残らなければいけないのはランディングサイト(感覚の降り立つ場)であり、われわれ見る側の方である。そして、建築はランディングサイトを記憶する容器である。荒川+ギンズの宿命反転思想をどう具体的に考えるのかは、それ自体建築的な問題であるのだ。」として、締めくくられました。
次に、The Queensland Universityの研究者である、Russell Hughes氏が発表されました。
”荒川+ギンズ的建築”を拡大解釈した上で、遺伝子科学、特に人間の健康に関する領域の産業について、現状のDNAデータの扱われ方や、その問題点。そしてまだ解析されていないDNAデータの潜在的な可能性、DNAデータを利活用するプラットフォームが満たしていない役割を補完する形で、新たなプラットフォームの構想について語っていただきました。
ご登壇くださった御二方に、厚く御礼申し上げるとともに、研究会に足を運んでくださった皆様方にも改めて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
次回の研究会もよろしくお願いいたします。
講演 大崎晴地氏 (美術家)「超具象的なもの―デュシャンと荒川+ギンズの間」
講演 Russell Hughes氏(オーストラリア・クィーンズランド大学研究員、関西大学東西学術研究所訪問研究員) “Arts as an Agent of Scientific Transfiguration”