Distraction Series 9: マドリン・ギンズのアンケート(2020年7月28日 公開)

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マドリン・ギンズ、6年生のクラス写真(本人は2列目の一番左)1952年、Radcliffe Road小学校にて

本日お届けする『Distraction Series』第9号ではReversible Destiny Foundationが管理するアーカイブから、マドリン・ギンズ関連の一資料をお届けします。1969年1月20日、マドリンは当時小学校の先生をしていた母に5年生の生徒たちから《Questionnaire (アンケート)》をとるよう頼みました。この日は、リチャード・ニクソンが第37代アメリカ合衆国大統領就任宣誓をした日です。今年4月に出版されたギンズ選書(The Saddest Thing Is That I Have Had to Use Words: A Madeline Gins Reader)の編集者ルーシー・アイヴスがこの《アンケート》に関する素敵なエッセーをPoetry Foundationのブログに寄稿していますので是非そちらも合わせてご一読ください。

マドリンがこの《Questionnaire (アンケート)》でまず問うのは人間の思考についてです-思考はどこで感じるのか、思考はどこから来るのか、そしてどこへ行くのか、思考は何でできているのか、等々。次にアンケートは生徒たちに円を描くという体験をしてもらい、そのあとで円とは、そしてそれを描くとは何であると思うかを聞きます。また、子供と大人の違いは何か、今まで思いついた一番面白い考えは何か、一番昔の記憶は何かを尋ね、最後に、先生へむけて一番面白いと思う質問を生徒たち自身に考えてもらいます。

思考はどんな物で成り立っているのかを考えた生徒たちからは様々な面白い答えが返ってきました-アヒルの羽、言葉、空気、ゴールド(金)、無、絹、柔らかいティッシュ、砂糖、毛皮、エメラルド、金属、ふかふかの綿、脳組織、皮、大理石。ナンシーさんによれば「大人は背丈だけでなく頭も成熟していなければならない。身長182センチで26歳の人でも子供みたいな振る舞いをする人もいるし、8歳でも成熟した頭なら数学教授のように考えられる子もいる。」全くその通りですね、ナンシー。数人の生徒たちは彼らの地球についての考えを聞かせてくれます。例えば、スーザンさんは地球が全て水で覆われたと想像し、先生に尋ねます-「先生は海の中で暮らしたいですか?」一方、トレイシーさんは全ての土地がお菓子とソーダでできている世界を想像します。タイバートさんは地球の中心は空洞で、人はその中に入る事ができると想像。ピーターさんに至ってはちょっと怖い宣言をします-「地球は死んだ。」

そして今回これを機会に現在13歳のゾーイさんにも同じアンケートを受けてもらいました。2020年を生きる子供の想像する世界とは-「世界はヴィデオゲームで、私はその中で誰かにコントロールされているだけで、私の周りの人たちはみんなフェイク。」彼女にとってそんな世界は恐怖のシナリオではなく「cool-イケてる」なのだそうです。1969年のギンズ先生の生徒さんたち、そしてゾーイからの回答の全てはウェブサイトからご覧いただけます。

マドリン・ギンズの《Questionnaire (アンケート)》は大人にとっても子供にとっても考え深い思考のエクササイズですので、是非皆さんも試してみてください!

Yours in the reversible destiny mode,

Reversible Destiny Foundation and ARAKAWA+GINS Tokyo Office

 

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マドリン・ギンズによるアンケート1ページ目, 1969年