BY 80s FOR 20s 1980年代発⇄2020年代行き

2017-09-08〜2017-10-29
岐阜県美術館

日本各地に公立の美術館が開館する1980年代、東京ではじまった商業ベースへのアートの進出は、百貨店等の販売流通業やテレビや雑誌等のメディアを介して、流行や新しい表現様式を生み出しました。そして、ストリートから商業施設、ファッション、劇場など新たな表現の場へとスピーディに展開したアーティスト達は、やがて時代の顔として、社会の姿、定義そのものを変えていきます。イラストレーションや、グラフィックなど新しい表現媒体の出現もまた、アートの境界を押し広げていく原動力となっていったのでした。本展では、当時、注目を集め時代を切り開いていったアーティストの一群から垣間見えてくる既成芸術への葛藤と、その創出していくエネルギーの源を、検証できる作品や資料から読み取っていきます。

2017年の現在、日本に於けるアートの現状は、次世代社会が目指す地域共生社会との連携が新たなアートの役割として展開されています。また、地域だけでなく、福祉施設や障がい者施設など異なる背景を持つコミュニティーへ活動の場が拡がっていく姿を見せています。この様な姿は1980年代のアートの拡がり方と似通っているのではないか、80年代に20年代の基礎があるのではないか。この大胆な仮説を基に、会場を1980年代に制作・発表された作品(立体、絵画等)と当時の写真(映像)や資料のほか、まだ見ぬ2020年代を予見させる作品等により構成いたします。

人との違いや個性を評価するアートの特性は、より多様な社会を繋げていく2020年代の次世代社会の基盤になろうとしているのではないでしょうか。アートは、1980年代が生み出した基盤を道標に、社会が求める新たな文化のあるべき姿として、より一層重要な役割を担っていくことになるのではないだろうか。

岐阜県美術館は、1982年に開館して今年で35年の節目を迎えます。本展覧会をとおして、これからのアートの役割について考えていきます。

(美術館ホームページより)