Re: play 1972/2015―「映像表現 ’72」展、再演

2015-10-06〜2015-12-13
東京国立近代美術館

出品作品: 展覧会関連企画として10月25日(日)・11月28日(土)に、映像作品『Why Not』が上映されます

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世界的に見ても先駆的な「映像表現 ’72」展を「再演」

1972 年、京都市美術館で開催された「映像表現 ’72」展は、映画館ではなく美術館で、美術家による複数の映像作品を一堂に展示した、世界的に見ても先駆的かつ画期的な展覧会でした。43 年の時を経た2015 年、東京国立近代美術館でこの「映像表現 ’72」展を再び開催します。
本展の趣旨は、過去の展覧会を懐古的に「再現」するのではなく、「再び舞台にのせる」こと、つまり「再演(replay)」し、そして「再生(replay)」することです。43 年前の残響に耳を澄まし、残像に眼をとめながら行われるこの「展覧会=上演」によって、ノスタルジーでもアナクロニズムでもなく、2015 年という「いま、ここ」におけるその現代的意味を捉え直します。

1970 年代初頭の熱気を帯びた時代から現代によみがえった映像作品

学生運動の激化や大阪万博の熱狂など、1960 年代後半から1970 年代前半の日本は熱い時代を迎えていました。同時に既成のジャンルを再考し、新たに世界を拡張しようという熱気が、様々なカウンターカルチャーを生み出した時代でもあります。ヒッピー、フォークソング、和製ヌーベルバーグ、アングラ演劇、劇画、(万博に対する)反博・・。この時代に人々が描いた、時にアナーキーで、時にオルタナティブな夢や理想は(やがて70 年代半ばに挫折がやってくると知っていても)、現代の私たちが振り返ると熱気にあふれ輝いてみえます。
トレンドは繰り返すと言われるように、ファッションや音楽、映画など様々な文化やライフスタイルが過去の流行を繰り返します。しかし、それは決して懐古的に「再現」するのではなく、「replay(再演)」することによって当時の良さを取り入れつつ、現代にあったものへと進化させるプロセスと言えるでしょう。

1972 年の京都と、2015 年の東京を重ね合わせる工夫に満ちた会場構成

今回の「再演」にあたっては、会場図面や記録写真、カタログ、展評、出品作家の記憶などから会場面積や機材の種類、配置など、あらゆる要素をできる限り正確に割り出しました。また現在では極めて困難な8 ミリフィルムの複製にも挑戦し、実際に8 ミリフィルムでの上映を行うなど、1972 年の展覧会をディテールにこだわって追求しています。
また今回の会場には、72 年の会場が入れ子状にすっぽり収まり、その外側に当時は存在しなかった壁の裏側と外周空間が存在することになります。内側の会場と外周空間を行きつ戻りつするうちに、1972 年と2015 年、京都市美術館と東京国立近代美術館という時間と空間が重なりつつズレていくような、不思議な感覚にとらわれ、刺激に満ちた魅力的な体験となることでしょう。

「FILM NOW 3 日間の映画会」再演

「FILM NOW 3日間の映画会」は、「映像表現 ’72」展の会期中に京都商工会議所で3日間にわたって開催された関連イベントです。本展では、この上映会も「再演」します。

日時|10月24日(土)・10月25日(日)・11月28日(土)・11月29日(日)
いずれも14:00~16:00(開場|13:30)

場所|講堂(地下1階)

参加無料、申込不要、要観覧券(先着140名)

プログラム

●10月24日(土)・11月29日(日)
1 アルド・タンベリーニ 『ブラック・TV』
2 ブルース・ベイリー 『タング』
3 スタン・ヴァンダービーク 『ブレスデス』
4 安藤紘平 『オーマイ マザー』
5 松本俊夫 『エクスタシス』
6 松本俊夫 『メタスティシス(新陳代謝)』
7 松本俊夫 『オートノミイ(自律性)』
8 松本俊夫 『エキスパンション(拡張)』
※すべて16mmフィルム上映

●10月25日(日)・11月28日(土)
1 ウィルヘルム&ビルギット・ハイン 『ラフなフィルム』※16mmフィルム上映
2 荒川修作 『WHY NOT』※DVD上映

*作品タイトルはいずれも「FILM NOW 3日間の映画会」チラシでの表記。

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「映像表現 ’72」展に出品した造形作家たちは、当時、劇映画や実験映画、テレビなど、さまざまな「映像」を眼にしていました。「美術」に隣接するように存在してい た「映画」の名作をご覧いただくことで、さらに広い視点から「映像表現 ’72」展出品作品を理解できるでしょう。

ほぼ16mmフィルムによる上映となる貴重な機会です。ぜひご参加ください。

(美術館ホームページより)