菊畑 茂久馬は1935年長崎市に生まれ、1950年代後半に前衛芸術集団「九州派」の一員として美術の世界に本格的に参入しました。60年代には同時代を席巻した美術動向である〈反芸術〉の旗手として、「ルーレット」、「奴隷系図」といったアッサンブラージュ(寄せ集め)の手法による作品により若くして世界的な注目を集めましたが、1960年代後半からは、1970年の万博開催を前に沸き起こった美術界の喧騒に背を向け、約20年間にわたり作品発表を極端に減らし、美術界と距離を置くようになりました。
菊畑の没後5年となる今年、全国の美術館が自館の菊畑作品を展示する「LINKS―菊畑茂久馬」プロジェクトが開催されています。高松市美術館は同プロジェクトに参加し、当コレクション展において、菊畑が1960年代に制作した絵画作品5点を展示するとともに、1960年代に展開した多彩な美術動向を、工藤 哲巳、三木 富雄、赤瀬川 原平、篠原 有司男、横尾 忠則ら20作家による作品28点によりご紹介します。廃品などを用いて既成の価値観の転換を図った〈反芸術〉、題材を日常的なものに求めた〈ポップアート〉、当時の最新のテクノロジーを取り入れた作品など、菊畑をはじめとする若い芸術家たちが新しい表現の創造を熱く試みた、60年代美術の数々をお楽しみください。
(美術館ホームページより)




