Arakawa: A Line is A Crack

2023-09-07〜2023-11-22
Castelli Gallery

2023年9月7日より、ニューヨークのキャステリ・ギャラリー(24 West 40th Street)にて「Arakawa: A Line is A Crack」展を開催いたします。

「Arakawa: A Line is A Crack」展では、1960年代の荒川の作品に焦点を当てます。1950年代後半、東京の前衛美術界で活躍した荒川は、1961年12月にニューヨークに到着。すぐに、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、ロバート・モリスら、マルセル・デュシャンの影響を受けた若いアーティストたちの仲間入りを果たします。この展覧会は、当時のニューヨークのアートシーンの活気と、絵画を新しい方法で考えようとした荒川の志を写し出します。皆様ぜひ足をお運びください。

展覧会概要

Arakawa: A Line is A Crack
荒川修作:線は亀裂 1

September 7 – November 16, 2023
Castelli Gallery
24 WEST 40 New York, NY 10018
Open: Tuesday-Saturday, 10am-6pm
https://www.castelligallery.com/exhibitions/arakawa-a-line-is-a-crack


1950年代後半、東京の前衛美術界で活躍した荒川は、1961年12月にニューヨークに到着し、後にブルックリン美術館付属美術学校に入学する。 到着後、荒川はまず112チェンバーズ・ストリートにあるオノ・ヨーコのロフトに住んだ。オノのトライベッカのロフトはニューヨークのアートシーンでは有名で、1960年12月から1961年6月にかけて、作曲家のラ・モンテ・ヤングとともに「チェンバーズ・ストリート・ロフト・シリーズ」を開催したことでも知られている。このロフトには、当時ダンサーのシモーネ・フォルティと結婚していたアーティストのロバート・モリスがすでに住んでいた。2人が破局したとき、オノがモリスに、チェンバーズ・ストリートに一時的に使用していないスペースがあるから住んでは、と提案したのであった。

このロバート・モリスとのつながりによって、荒川はニューヨークのアートシーンに足を踏み入れることになる。荒川は、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、そしてモリスを含む、マルセル・デュシャンの影響を大きく受け、伝統的な絵画や彫刻の枠を打ち破ろうとするニューヨークの若手アーティストたちのグループに加わった。そして荒川はヴァージニア・ドワンと出会う。1964年から1971年に閉廊するまで、荒川はドワン・ギャラリーで作品を発表した。この間、ドワン・ギャラリーのロサンゼルスとニューヨークそれぞれのスペースで5回の個展が開催されている。

「Arakawa: A Line is A Crack」展は、1960年代の荒川の作品に焦点を当てたもので、当時のニューヨークのアートシーンの活気と、絵画を新しい方法で考えようという志を反映している。1962年より、荒川は白いキャンバスに4つの黒鉛のマークで構成された《無題の形成》に見られるように、非常にミニマルな絵画を構想するようになる。荒川はこれらの初期の作品において、それまでの絵画の知識をすべて白紙に戻しているかのように見える。

1963年以降は作品に具象性を導入し、ジョーンズやラウシェンバーグとの関連性を示す方向へと進む。《無題》(1964)に見られるように、日常的な物体のイメージは、アクリルスプレーペイントの技法でキャンバスに転写される。この技法を用いた作品群の内、《無題》(1964-65)は特に複雑である。スプレーでイメージを転写するだけでなく、キャンバスの上に実物の漏斗や傘を取り付けている。また、エドワード・マイブリッジの《ハンモックに入る》からコンタクトシートを借りて、写真を使うことも取り入れている。

絵画とは何か?彫刻とは何か?画家がキャンバスの角を切り、その過程で作品を平面から立体に変えた時、絵画は彫刻になるのだろうか?《荒川と私》(1967)に見られるように、荒川の作品は結局のところ、これらの問いを投げかけはするが、答えを出すことはできない。

展覧会タイトル「A Line is A Crack」は、荒川の人生と仕事のパートナーであるマドリン・ギンズが書いた文章からインスピレーションを得ている。この一文は1967年の作品《Landscape》の中に引用されている。

同展覧会にあわせて、ニューヨーク大学のジュリア・ロビンソン教授、京都工芸繊維大学の平芳幸浩教授、ブリティッシュ・コロンビア大学のイグナシオ・アドリアソラ教授によるエッセイが掲載されたカタログが刊行される。

この展覧会はリバーシブル・デスティニー財団とのコラボレーションにより、2023年9月7日(木)より、24 West 40th StreetのCastelli Galleryにて開催されます。

(Castelli Gallery公式ウェブサイトより)

  1. ^A Line is A Crackの日本語訳「線は亀裂」はマドリン・ギンズ著Helen Keller or ARAKAWAの和訳本『ヘレン・ケラーまたは荒川修作』(2010, 新書館、渡部桃子監訳)による。