青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション

2023-03-24〜2024-01-08
原美術館 ARC

出品作品: 第1期(春夏季):荒川修作《ヘレン・ケラー、あるいはヨーゼフ・ボイスの肖像》1986
第2期(秋冬季):荒川修作《それを見よNo.3 》1968

原美術館ARCでは、「青空は、太陽の反対側にある」展を開催いたします。作品制作や鑑賞のあり方の一端を表す言葉を当館の豊かな自然環境に求め、「青空は、太陽の反対側にある」と題し、「原美術館コレクション」(現代美術)と「原六郎コレクション」(東洋古美術)を春夏季と秋冬季の2期に分け展観いたします。

■本展の見どころ
①当時の“女性アーティスト”の枠に囚われず、彫刻表現を拡張した久保田成子や、美術の伝統的価値に異を唱えた「反芸術」の作家など、当館が40余年の歳月をかけ収集した現代美術家の作品を紹介。
②明治の実業家・原六郎の収集品から、通常は東京国立博物館に寄託している国宝『青磁下蕪花瓶』と『青磁袴腰香炉』が里帰りする他、「光悦本」と呼ばれる希少な古活字本、『謡本』を展示。『青磁袴腰香炉』は明治期以来の一般公開、『謡本』は初公開。

■展覧会概要
雲ひとつない晴れた日に原美術館ARCを訪れて最初に目にするもの――それは大きな青空です。青空と山々の深緑や紅葉、そして青空と端正な黒色の磯崎新建築とのコントラストは、恐らくここでしか見ることのできない感動の光景。しかしよく見ると、青空の青さにはわずかに濃淡があります。輝く太陽の周りは少し白っぽく、太陽から離れるにつれ青さが増してゆく。思い描く理想の青い空は太陽の反対側にあります。
本展では、「青空は、太陽の反対側にある」をキーフレーズに、自身の理想を求めて当時の美術的・社会的動向に背を向けた荒川修作や久保田成子、ギルバート&ジョージやヨーゼフ ボイスなど、国内外の作家の表現を展観します。 まず、現代美術ギャラリーA、B、Cでは、常識や慣習、既存の価値観に抗うことで、または視点を変えることで独自の地平を切り開く作家や、声高ではなくとも社会や美術の潮流に疑問を呈する作家、そして自身の心に深く潜ることで新たな表現を浮上させる作家の作品をご覧いただきます。
一方、特別展示室 観海庵には、鎖国の江戸期に西洋絵画や科学に傾倒した司馬江漢や、「朦朧体」と揶揄されながらも墨線を否定し、独自の表現を切り開いた横山大観の作品を展示します。また、中国とは異なり、象嵌の施された高麗独自の青磁、『青磁鳥形水注』を初公開。白と黒の土を用いた羽の表現や、羽毛を表す精緻な線、とろりとかかる青磁釉の美しさが見どころです。さらに、写生を重んじた円山応挙と、与謝蕪村から学んだ呉春それぞれが一幅ずつ描いた双幅の展示に加え、本阿弥光悦の書体を基にした希少な古活字本『光悦謡本』を帖を替えながら展示いたします。
輝く太陽にあえて背を向け、順光に映し出される鮮やかな青空と原美術館ARCをどうぞご堪能ください。

出品作家
第1期(春夏季)2023年3月24日(金)―9月3日(日)
現代美術:艾未未(アイ ウェイウェイ)、荒川修作、安藤正子、磯崎新、ヨルク インメンドルフ、アンディ ウォーホル、河原温、リー・キット、ギルバート&ジョージ、イミ クネーベル、トニー クラッグ、クリスト&ジャンヌ=クロード、フランチェスコ クレメンテ、スラシ クソンウォン、ヴィルヘルム サスナル、佐藤時啓、佐藤雅晴、ジュリアン サルメント、ジョージ シーガル、ディヴィッド スミス、シンディ シャーマン、須田悦弘、ルフィーノ タマヨ、ジャン デュビュッフェ、奈良美智、ナム ジュン パイク、ゲオルク バゼリッツ、ミンモ パラディーノ、キース へリング、A. R. ペンク、ヨーゼフ ボイス、張洹(ジャン ホワン)、ロバート メイプルソープ、やなぎみわ、三島喜美代、森村泰昌、横尾忠則、ジム ランビー、ロイ リキテンシュタイン、ソル ルウィット、ジャン=ピエール レイノー、リチャード ロング
古美術:『青磁下蕪花瓶』(国宝)、『青磁袴腰香炉』、『青磁鳥形水注』、『光悦謡本』、狩野派『花鳥図』、狩野派『花鳥図屏風』、狩野派『層嶺瀑布図』、『紫陽花蒔絵重箱』、本阿弥光悦『蝶下絵和歌巻(古今和歌集春歌上)』など

第2期(秋冬季)2023年9月9日(土)―2024年1月8日(月・祝)
現代美術:カレル アペル、荒川修作、アルマン、アルマンド、アンディ ウォーホル、クレス オルデンバーグ、工藤哲巳、久保田成子、クリスト、ヴィレム デ クーニング、篠原有司男、セザール、アントニ タピエス、蜷川実花、エルネスト ネト、森村泰昌、ロバート メイプルソープ、マーク ロスコなど
古美術:司馬江漢『冨嶽図』、横山大観『海辺曙色図』、『光悦謡本』、本阿弥光悦『蝶下絵和歌巻(古今和歌集春歌上)』など

通年展示作品
アニッシュ カプーア「虚空」、草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」、宮島達男「時の連鎖」、森村泰昌「輪舞(双子)」、奈良美智「My Drawing Room」、束芋「真夜中の海」など

美術館ホームページより