コレクション展示:荒川修作

2023-01-14〜2023-04-09
群馬県立近代美術館

出品作品: 《アルファベット・スキン No.3》1965-66 ほか全17点

展示風景 提供:群馬県立近代美術館

本室では、当館寄託作品より1960年代から2000年代にかけて活躍した美術家、荒川修作の作品をご紹介します。
荒川修作(1936-2010)の絵画作品は1960年代から開始された「意味のメカニズム」というプロジェクトに属するものです。荒川はパートナーである詩人で美術家のマドリン・ギンズ(1941-2014)とともに、視覚、聴覚を失ったヘレン・ケラーが言語を視覚のかわりとして自ら知覚世界を再構築したことに着想を得て、絵画上で独自の認識のメカニズムを表現しようと試みたのでした。
なにかの図面のような図式(ダイアグラム)と、型抜き文字や手書きの言葉。荒川修作の絵画に向かい合うとき、私たちは従来とは違った絵画との接し方を要求されることになります。文字を読み、その内容を考えること。図形を見て、それが表すものと言葉との関連を考えること。そこにある線、色彩、形態を知覚すること。しかしそれらは、明確な答えを与えてはくれません。荒川の作品は読み解かれるためにあるのではなく、鑑賞者が思考をめぐらせる過程の中で、これまで当たり前と思ってきた事物と言葉の関係や知覚のあり方を問い直すことをうながすエクセサイズ(練習)なのです。
1980年代以降、荒川は知覚や感覚を変革することで、死という逃れられない人間の運命を「反転させる」、死なないための住宅「天命反転都市」の建築プロジェクトに着手し、実際に《養老天命反転地》(1995年、岐阜県養老郡養老町)や《三鷹天命反転住宅》(2005年、東京都三鷹市)を建設しました。荒川による壮大な実験の出発点である絵画、ドローイング、版画作品をどうぞご覧ください。

美術館ホームページより