東野芳明(とうの よしあき、1930-2005)は戦後に活躍した美術評論家です。1950年代末に渡欧・渡米した東野は、そこで目にした欧米の「現代美術」をいち早く国内に紹介することに努め、60年代以降は、「反芸術」と称した同世代の芸術家たちの伴走者として、彼らの活動を後押ししました。東野は、創作現場での体験を交えた、臨場感に満ちた批評を執筆するのみならず、展覧会の企画にも携わり、国内外の芸術家たちと多くの時間を過ごしました。後年は、水をめぐる思索を深め、趣味の素潜りによる写真作品も制作しています。
東野の没後20年を記念して開催するこの展覧会では、当館のコレクション・資料を中心に、東野の美術評論家としての歩みを紹介します。当館の前身である富山県立近代美術館にとって、東野は特に関わりの深い評論家の一人であり、当館のコレクション形成にも大きな影響を与えました。展覧会を通して、東野の批評と彼が見つめた美術を振り返ります。
(美術館ホームページより)