所蔵作品展 「MOMAT コレクション」

2014-11-11〜2015-03-01
東京国立近代美術館本館所蔵品ギャラリー

出品作品: 《アルファベットの皮膚 No.3》1966-67年、ほか3点

「MOMATコレクション」展は、日本画、洋画、版画、水彩・素描、写真など美術の各分野にわたる12,000点(うち重要文化財13点、寄託作品1 点を含む)を越える充実した所蔵作品から、会期ごとに約200点をセレクトし、20世紀初頭から今日に至る約100年間の日本の近代美術のながれを海外作 品も交えてご紹介する、国内最大規模のコレクション展示です。

ギャラリー内は、2012年のリニューアルによって、12の部屋が集合したスペースに生まれ変わりました。その1から12室までを番号順にすすむと1900年頃から現在に至る美術のながれをたどることができます。そして、 そのいくつかは「ハイライト」、「日本画」という特別な部屋、あるいは特集展示のための部屋となって、視点を変えた展示を行っています。

「好きな部屋から見る」、「気になる特集だけ見る」あるいは「じっくり時間の流れを追って見る」など、それぞれの鑑賞プランに合わせてお楽しみください。

12. すべての事物が腐蝕し、崩壊していくこの巨大なガラクタ置場のなかで

タイトルは高松次郎の言葉から取りました(1階企画展「高松次郎ミステリーズ」[12月2日-2015年3月1日])。ここに展示されるのは、ほぼ高松と同世代で、それぞれに接点を持つ人々です。多くが1930年代生まれのこの世代は、小・中学生で敗戦を、大学生から社会人のころに高度経済成長を経験しています。到来した平和とモノがあふれる時代の中で、高松は、いまやすべてを倦怠が包み、モノの実体に触れる実感は持てない。モノには既成概念や空虚なイメー ジがべたべたと貼りついている。そうであれば、触れえないモノに向かって永遠に解けない謎を追い続けるしくみを作ることが、いまや作品制作の意味ではないか、と訴えました。このように、モノ(実体)とイメージや言葉(非実体)の関係を一から問い直すことは、この世代の作家たちに共有されるテーマでした。荒川修作は、モノと言葉の結び付きの恣意性を図式として示しました。李禹煥は、木や石といった自然の素材を用い、なるべく人の手を加えずおくことで、モノの豊かな世界をもう一度取り戻そうとしました。

もし現在でも芸術に存在意義があるとしたら、それはその難解さにおいてだろうと思います。作品の内容が“問い”という形でしか成立しえないことを意識している作家たちに、その答えのわかりやすさを要求するのは酷というものです。(美術館ホームページより)