『切断する美学-アヴァンギャルド芸術思想史-』(塚原史著・論創社)

塚原史氏(早稲田大学法学学術院教授)による『切断する美学-アヴァンギャルド芸術思想史-』(論創社)が刊行されました。

本書は2008年に刊行された『反逆する美学 アヴァンギャルド芸術論』(論創社)の続編であり、また、近刊を予定されている『模索する美学アヴァンギャルド社会思想史』(論創社)とともに塚原先生のアヴァンギャルド芸術研究の集大成としての三部作を構成されるものです。

 

‐したがって、表題を『切断する美学 アヴァンギャルド芸術思想史』とした理由については、(中略)ごく大づかみにいえば、因襲や伝統を断ち切って新たな方向をめざす同時代の先端的な試みとしてアヴァンギャルド芸術を捉え、(中略)二0世紀が始まる前後から近年まで、ダダ、未来は、シュルレアリスム、岡本太郎、荒川修作などによる、その思想的実践の特徴的な表れをたどってみることにしたからである‐(序章より)

 

とありますように、荒川修作についての考察も本書の中で重要な位置づけをされています。

 

アヴァンギャルドとは過去の価値観や常識を「切断」し、「新しい道」を切り拓く者であるはずであり、その実践に向かうには真に強い信念を持ち続けなければ決して歩き続けることのできないもの、だとすれば、荒川の唱え続けた「天命反転」はまさに「新しい道」へ続いているのではないでしょうか。

 

500頁を超える塚原先生の「尽きることのない、アヴァンギャルド芸術の思想と歴史の可能性!!」(カバー帯より)、ぜひお手にとってご一読をおすすめいたします。

 

詳細 →→『切断する美学-アヴァンギャルド芸術思想史-』(論創社)

 

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