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AMBIGUOUS ZONES 15

みなさま 2023年も終わりに近づいておりますが、いかがお過ごしですか。今年を締めくくるAmbiguous Zones15号は、Reversible Destiny Foundationの大学院研究員の井上絵美子氏による、荒川修作の映像作品『Why Not: 終末論的生態学のセレナーデ』(1969年)についてのエッセイです。井上氏は現在ニューヨーク市立大学ハンターカレッジ校の美術史修士課程に在籍し

AMBIGUOUS ZONES 14

みなさま 夏真っ盛りの中お届けするAmbiguous Zones 14号は、Reversible Destiny Foundationサマー・インターンのジェイリン・ローズ執筆による特別版です。ジェイリンはプラット・インスティテュートにて美術を主専攻に学士号を取得予定で、美術史と哲学を副専攻にしています。ジェイリンのエッセイ「WORD RAIN:摩擦と融合の詩学」は、 彼女がマドリン・ギンズの『T

Ambiguous Zones 13

リンカーン・センター劇場プログラム、1979年5月、表紙。124 W Houston Documents, Box 4N14, Folder 50, Reversible Destiny Archives みなさま 暖かい春の気候とともにAmbiguous Zones 13号をお届けします。今回は、リバーシブル・デスティニー財団のプロジェクト・アーキビストであるキャサリン・デネットが発見した不思議

Ambiguous Zones 12

アラカワとマドリン・ギンズ、124 West Houston Streetのスタジオにて みなさま 新しい年の始まりにAmbiguous Zones 12号をお届けいたします。今回は、ニューヨーク市立大学大学院美術史博士課程在籍中、そしてリバーシブル・デスティニー財団インターンでもあるチェウン・リ氏による荒川とマドリン・ギンズのブランクの概念に関する小論です。リ氏は現在執筆中の博士論文では、196

Ambiguous Zones 11

図1:<Container of Sand>(砂の箱)、1958–59年、東京で制作された棺桶作品例、撮影:中野正貴 みなさま Ambiguous Zones 11号は近現代アート専門のリサーチャー、キーナン・ジェイ氏にゲスト寄稿していただきました。1964年3月、ニューヨーク州バッファローのズニ・ギャラリーで開催された主に棺桶シリーズ作品を中心とした荒川個展に焦点を当てた論考です。ジェイ氏はディ

Ambiguous Zones 10

荒川修作, 無題, 1968年 みなさまへ 暦の上ではまだ残るところ2週間は夏ですが、リバーシブル・デスティニー財団のオフィスのあるニューヨークでは先月末からすでに秋のハロウィーンや感謝祭へむけてパンプキン・スパイスを加えた商品(ラテ、ドーナッツ、ビール、etc.)がどんどん出始めています。 今月のAmbiguous Zones第10号ではこのような秋の風味にひたる前に、荒川の1968年制作の絵画

Ambiguous Zones 9: ヴェネツィア・ビエンナーレ

上図:ヴェネチア、サンマルコ広場の荒川。おそらくカフェ・ラヴェーナにて1970年撮影(ポラロイド用印画紙は1969年のもの) みなさま 美術の国際展として世界で最も権威を持つとされる現在開催中のヴェネチア・ビエンナーレ。今年は日本が参加し始めてから70年目となります。そこで今月の『Ambiguous Zones 』第9号では、荒川が代表作家として日本館館内展示に選ばれた1970年第35回ヴェネチア

Ambiguous Zones 8: Non-Gravitational Being, 1983-1984

荒川修作《無重力の存在》1983-84年, 254ⅹ345.4cm Arakawa, Non-Gravitational Being, 1983-1984, acrylic, graphite, art marker and PVA on canvas (in two parts), 100 x 136 in. Photo: Rob McKeever みなさま 本日のAmbiguous Zones

Ambiguous Zones 7

Installation view of ARAKAWA: Waiting Voices at Gagosian Gallery, Basel, November 25th, 2021–January 22nd, 2022. Photo: Annik Wetter (Left) Hard or Soft No. 3, 1969, acrylic, graphite, and marker on c

Ambiguous Zones 6: Lecture and virtual tour by Dr. Ignacio Adriasola of the exhibition ARAKAWA: Waiting Voices at Gagosian Gallery in Basel, December 9th, 2021

Arakawa and Madeline Gins、《天命反転地》のための習作、デジタル・レンダリング、ca. 1994 みなさまへ あけましておめでとうございます。 新年の朝日に誓い、Reversible Destiny Foundation、及び、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所スタッフ一同、荒川とマドリンに習い、ますますポジティブかつプレイフルに未来へ向かって前進してまいりますので、引き

Ambiguous Zones 5: ホリデーシーズン到来

1. 7月に感謝祭?それとも11月でも暖かい所でしょうか。ターキーか、それともダック?アウトドアのテーブルを囲むマドリン・ギンズ、荒川、マドリンの両親エヴェリン・ギンズとミルトン・ギンズ、1977年頃 みなさまへ ホリデー・シーズン到来の今月、昨年の今頃の状況が感慨深く思い出されます。今年の年末年始は家族や友人達とのつながりが—それがどのような方法であれ—今まで以上に大切なものとして皆様も感じられ

Ambiguous Zones 4: マドリンの誕生日

みなさまへ マドリン・ギンズの誕生日である11月7日を祝い、本日のAmbiguous Zonesシリーズ第4号は、ギンズの未出版作品をご紹介します。ギンズはこの著書に2つのタイトルの可能性を考えていました — 『今こそ会話:詩人と医者』、もしくは、『今こその医学』。双方とも内容を簡潔に伝えるタイトルです。つまりこの本は、神経学、精神医学、さらには鍼治療などさまざまな分野の医師、専門家、そして患者た

Ambiguous Zones 3: お誕生日おめでとう!

完成間近の三鷹天命反転住宅 2005年 撮影:中野正貴 みなさまへ 本日10月15日は三鷹天命反転住宅の「誕生日」であること、ご存知でしたか?今でも日本国内外で異彩を放つ荒川+ギンズ設計のこの建物は2005年の今日、正式に竣工しました。全9戸からなる集合住宅のうち、現在5戸は賃貸として常にご入居者が使用され、その他2戸では見学会、短期滞在プログラム、さらにはテレワークプランを実施、そしてもう1戸は

Ambiguous Zones 2: The end of summer

1. スナップショット撮影中の荒川、日本 みなさまへ 本日AZシリーズ第2号では、夏の終わりの思い出に荒川とマドリンの旅の記録の写真をご紹介します。この夏はみなさまアート見学などでどこかへ足をのばす事ができましたでしょうか。アーカイブ資料を探ると、荒川とマドリンは1980年にはフランスにアレクサンダー・カルダーの彫刻作品を訪ね、また1969年の夏のヴェニスへの旅からは、マドリン自身がユーモアいっぱ

Arakawa at the beach, Japan, ca. mid 1950s

Ambiguous Zones 1: A Self-Portrait Near the Ocean

Arakawa at the beach, Japan, ca. mid 1950s みなさまへ Reversible Destiny Foundationと荒川+ギンズ東京事務所にとって、夏は荒川修作の誕生日7月6日のお祝いで始まります。今年は荒川生誕85周年を迎えます。 Distraction Seriesは、昨年コロナウイルスによるロックダウンにより、スタッフが皆自宅からの遠隔勤務に移行した

Distraction Series 20: 遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体 バーチャルツアー

みなさまへ 今回お届けするDistraction Series 第20号では荒川+ギンズの最初の建築プロジェクトであり、1994年に開館した奈義町現代美術館(NagiMOCA)にある3点の恒久設置作品の一つ、「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」の仮想体験へみなさまをご招待いたします。 この美術館は建築家・磯崎新によって企画段階の最初から任命されたアーティストー宮脇愛子、岡崎和郎、そして荒川修作

Distraction Series 19: レイ・ジョンソンと荒川+ギンズ

春から初夏にかけて天候が日々変わる最近のニューヨークはチェルシー街の西19丁目のデイヴィッド・ツヴィルナーギャラリーにて、メール・アートでよく知られるアーティスト、レイ・ジョンソンの展覧会—Ray Johnson: WHAT A DUMP—が今月22日まで開催されています。ジャレット・アーネストのキュレーションによるこの個展は、レイ・ジョンソンエステート所有のコラージュ作品やアーカイブ資料をふんだ

Distraction Series 18:養老天命反転地ヴァーチャルツアー

いつも荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所の活動にご支援・ご協力を賜りましてありがとうございます。 今月の『Distraction Series』18号は春の訪れを祝い、皆様を養老天命反転地へのヴァーチャルツアーへお誘いいたします。岐阜県養老町の養老公園内に位置する養老天命反転地は、1995年に開園した荒川+ギンズによるデザインの広大なテーマパークです。 1997年にはサイト内に鮮やかに彩られた天

Distraction Series 17:「男性除け」香水プロジェクト

みなさまへ、 数ヶ月前、リバーシブル・デスティニー財団のアーキビストのキャサリン・デネットがアーカイブ資料整理中に「男性除けアーカイブ」(Man Repellent Archive)と表記されたフォルダーを発見しました。キャサリンはまず「とても好奇心をそそる資料。中身はステッカーの数々と香水製造会社からの請求書。この不思議な香水ってなんだろう? マドリンはなぜ<逆説的に効果を発する男性除け>の香水

Distraction Series 16: 宮崎駿監督とアラカワ

宮崎駿さんと荒川修作、三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラーにて, 撮影:本間桃世, 2005年 Distraction Series 16では、“アーカイブ資料から読み解くArakawa/Ginsの交友関係”(仮題、シリーズ化検討中)より、まず初回はアニメ監督の宮崎駿さんとアラカワについてご紹介しましょう。 アニメーション映画に詳しくない方も、スタジオジブリの「となりのトトロ」(

Distraction Series 15: ドン・バード氏からの言葉

2021年最初の『Distraction Series』となる第15号では、荒川とマドリンと深い親交のあった詩人ドン・バード氏の言葉をお届けします。 マドリンと荒川は最高に思いやりのあるアーティストで、永遠に共謀者を探していた。 マドリンはよく私に電話をしてきた 「ハーイ、今話せる程度の状態かしら?どうやって私たち死なないようにしないつもりかしら?」 死なないということ(To Not To Die

Distraction Series 14: 手紙

Dear Friends, 『Distraction Series』も今月で14号となります。今回は「建築する身体」づくりにも重要な役割を担う郵便に思いを馳せてみます。荒川とマドリンは世界中に多くの朋友を持ち、その生き生きとしたコミュニティー(共同体)の広がりと多様性は、彼らの間で交わされた書簡(手紙や葉書)が伝える親しみと遊び心によく現れています。 また、2006年出版の『死ぬのは法律違反です』

Distraction Series 13: What the President Will Say and Do!!(11月9日更新)

マドリン・ギンズ『What the President Will Say and Do!!』(Barrytown, NY: Station Hill Press, 1984年)表紙イメージ。カバーデザインは荒川修作によるもの Dear Friends, アメリカ大統領選、そして、新型コロナ感染数増加に揺れる11月が始まりました。誰もがこの緊張の日々をどう過ごしていくかを考えていることと察します。『

Distraction Series 12: ヘレン・ケラーまたは荒川修作(2020年10月7日更新)

マドリン・ギンズ著 渡部桃子訳『ヘレン・ケラーまたは荒川修作』(日本語版)表紙、新書館 2010 10月は視覚障害意識向上月間(Blindness Awareness Month)です。そこで、『Distraction Series』第12号ではマドリン・ギンズ著『ヘレン・ケラーまたは荒川修作』(Helen Keller or Arakawa;英語版1994年、日本語版2010年)を取り上げ、日米

Distraction Series 11: 荒川修作 インタヴュー, NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 1997(2020年9月7日更新)

  ・【文字起こし】荒川修作 インタヴュー, NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 1997 本日の『Distraction Series』第11号 では、1997年東京のNTT InterCommunication Center (ICC)にて収録された荒川修作ヴィデオ・インタビューを、新しく日・英語字幕付きでお届けいたします。ICCがオープン・ヴィデオ・アーカイブとしてウェ

Distraction Series 10: A round-the-world armchair vacation with Arakawa and Madeline

1.メキシコ、トゥーラのトルテック族戦士群像の間でポーズするマドリンと荒川 夏休み真っ盛りですがコロナ禍によりまだまだ旅行などに規制がある現状を想い、本日の『Distraction Series』第10号ではReversible Destiny Foundationが管理するアーカイブから、荒川とマドリンの世界各地への旅路を記録にとどめる写真の数々を通して、皆様をお茶の間から楽しめる世界旅行へとお

Distraction Series 9: マドリン・ギンズのアンケート(2020年7月28日 公開)

マドリン・ギンズ、6年生のクラス写真(本人は2列目の一番左)1952年、Radcliffe Road小学校にて 本日お届けする『Distraction Series』第9号ではReversible Destiny Foundationが管理するアーカイブから、マドリン・ギンズ関連の一資料をお届けします。1969年1月20日、マドリンは当時小学校の先生をしていた母に5年生の生徒たちから《Questi

Distraction Series 8: 「荒川修作の”MISTAKE”」講師:山田諭(2020年7月13日更新)

『Distraction Series』第8号は、京都市美術館学芸課主任の山田諭氏のご厚意により、2012年5月13日、当時氏が学芸員として勤務されていた名古屋市美術館(NCAM)にて行った「荒川修作の“MISTAKE”」と題された2時間に渡る講義の10分40秒ダイジェスト版をお届けいたします。この講義はNCAM所蔵の大作《35フィートX7フィート6インチ、126ポンドNo. 2》に焦点を当て、深

Distraction Series 7: 空 No. 2 / Sky No. 2, 1968年(2020年6月30日更新)

Arakawa, Sky No.2, 1968, acrylic and oil on canvas, 48 x 36 in 1968年、荒川はその年のドクメンタ4に出品したのとは一味違う、遊び心の感じられる作品を制作しています。それは絵画及び版画上に、ラム肉のシチュー、酢豚、バナナケーキ、ココナッツミルクケーキなどの料理レシピを取り入れた作品群です。これらのレシピは荒川とマドリンが持っていた料理

Distraction Series 6: ドクメンタ4(2020年6月15日 公開)

『Distraction Series』第6号では、1968年ドイツのカッセルにて6月から10月にかけて開催された国際展ドクメンタ4を振り返ってみたいと思います。荒川修作は、この4年もしくは5年に一度開催される展覧会にこの年と1977年の2度参加しています。 ドクメンタは1955年、西ドイツ(当時)を美術の国際舞台へ復活させ、特にナチスにより「退廃芸術」とみなされていたモダンアートを、カッセルを中